二代目オーナーシェフとして
私が幼い頃は、今と違って高価な小粒のチョコレートは
なかなか受け入れられずに、
わが家の食卓には、売れ残ったチョコがいつもありました。
母の苦労を見てきたので、高校生の頃になると
父に対して何かにつけて反発していました。
家族に苦労をかけているのにチョコレート作りに没頭していた
頑固な父を認めることができなかったのです。
しかし、本格的に職人として修業をするようになって、
ある想いが沸き上がってきました
「売れない時、本当は、一番大変だったのは
父だったのではないか。
ひとりで試作を繰り返し、その技術を見い出し、
鮮度へのこだわりを極めようとしたのだ」
その時、父が切り開いた足跡の意味と、
重さを初めて知りました。
その日から「チョコレートショップ」の
2代目を継いでいく決意が固まったのです。
オーナーシェフ 佐野 隆